お知らせ
妊娠中の歯科治療について
2021.5.31
目次
医療法人社団歯友会 赤羽歯科 戸田診療所 歯科医師の不破です。
妊娠中は体調や食事など色々と気をつけることが多く、心配なことも多いかと思います。
今回は妊娠中の歯科治療とはどういったものなのか、気をつけるべきことなどについて書いていきたいと思います。
まず、妊娠中のお口の中の変化についてお話します。妊娠中は唾液の分泌が少なくなったり、悪阻が原因で歯磨きが上手くできなくなってしまい、歯周病が悪化しやすくなったり、お口の中が酸性に傾き、虫歯にもなってしまう可能性が高くなります。
どれだけ気をつけていても虫歯になってしまう可能性は誰にでもあります。
治療の時期についてですが、妊娠中の治療においては、基本的に安定期(16~27週)に行うことが望ましいです。
妊娠初期の2か月(4週)から4か月間(15週)は投薬による先天異常・奇形のリスクがあるため治療は最小限に縮め、安定期もしくは出産後に治療することが望ましいです。
妊娠後期(28週以降)は仰向け寝をすると仰臥位性低血圧症候群になる可能性があることから、治療は担当医と相談して行います。
仰臥位性低血圧症候群(ぎょうがいせいていけつあつしょうこうぐん)とは大きくなった子宮が背骨の右側にある下大静脈を圧迫し血圧が下がってしまうことで、意識レベルが下がり気分が悪くなったり冷や汗が出たり、めまいが出たりします。
次に治療内容のお話です。
歯科の治療では、担当医の判断により、エックス線撮影を行ったり、麻酔や必要に応じてお薬を出すことがあります。
エックス線撮影
歯科で行うエックス線撮影の方法の一つに単純撮影という方法があります。
これは日本で1年間に浴びる自然放射線量(1.4mSv)の150分の1の量で医科で使われる腹部CTよりも少ない量です。
また撮影する部位は頭部で腹部より離れていることと防護エプロンを使用すればほとんど問題になることはありません。
麻酔
麻酔なしでは治療が困難な場合、必要に応じて歯科麻酔薬を使う場合があります。歯科で使われる2%リン酸リドカイン製剤は通常量使用するのであれば、お腹の赤ちゃんへの危険性はほとんどないと言われています。
抗菌薬・鎮痛薬
基本的に服用しないほうがいいですが、必要な場合はお腹の赤ちゃんに影響が少ないお薬を出すことがあります。
妊娠中の歯科治療といっても大きく変わることはなく、安心して治療を受けて頂けますが、心配なことや聞きたいことはもちろんあると思います。その際は直接担当医とカウンセリングして頂ければと思います。
妊娠中に歯周病を放っておいてしまうと、早産や低体重児出産のリスクも高くなってしまうため、歯ブラシで出血しやすい、悪阻で歯磨きができないなど気になることがあればお気軽に相談してください。